敬天愛人フォーラム21 西郷隆盛に学ぶ
南洲翁遺訓 第13条

南洲翁遺訓 第13条

原文

租税を薄くして、民を裕にするは、即ち国力を養成する也。故に国家多端にして、財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐たげぬもの也。能く古今の事跡を見よ。道の明かならざる世にして、財用の不足を苦むときは、必ず曲知小慧の俗吏を用ひ、巧みに聚斂して、一時の欠乏に給するを、理材に長ぜる良臣となし、手段を以て、苛酷に民を虐たげるゆえ、人民は苦悩に堪へ兼ね、聚斂を逃れんと、自然譎詐狡猾に趣き、上下互に欺き、官民敵讐と成り、終に分崩離拆に至るにあらずや。

現代語訳

税金を少なくして国民生活を豊かにすることこそ国力を高めることになる。だから国の事業が多く、財政の不足で苦しむような事があっても決まった制度をしっかり守り、政府や上層の人達が損をしても、下層の人達を、苦しめてはならない。昔からの歴史をよく見るがよい。道理の明らかに行われない世の中にあって、財政の不足で苦しむときは、必ずこざかしい考えの小役人を用いて、その場しのぎをする人を財政が良く分かる立派な役人と認め、そういう小役人は手段を選ばず、無理やり国民から税金を取り立てるから、人々は苦しみ、堪えかねて税の不当な取りたてから逃れようと、自然に嘘いつわりを言って、お互いに騙し合い、役人と一般国民が敵対して、終には、国が分裂して崩壊するようになっているではないか。