南洲翁遺訓
『南洲翁遺訓』は、西郷隆盛が語った言葉を、旧庄内藩の関係者が明治23年(1890年)にまとめた書です。全41条から成り、原文(古語調)と現代語訳をあわせて掲載します。
「敬天愛人」の教えは、この遺訓の第二十一条・第二十四条にあります。第三十条の「命もいらず、名もいらず」の一節や、第二十五条の「人を相手にせず天を相手にせよ」は、とりわけ広く知られています。
- 第1条 政府に入って、閣僚となり国政を司るのは天地自然の道を行なうものであるから、いささかで…
- 第2条 立派な政治家が、多くの役人達を一つにまとめ、政権が一つの体制にまとまらなければ、たと…
- 第3条 政治の根本は国民の教育を高め充実して、国の自衛の為に軍備を整備強化し、食料の自給率、…
- 第4条 国民の上に立つ者(政治、行政の責任者)は、いつも自分の心をつつしみ、品行を正しくし、…
- 第5条 ある時『何度も何度も辛い事や苦しい事にあった後、志というものは始めて固く定まるもので…
- 第6条 人材を採用する時、良く出来る人(君子)と普通(小人)の人との区別を厳しくし過ぎると、…
- 第7条 どんな大きい事でも、小さい事でも、いつも正しい道をふみ、真心をつくし、一時の策略を用…
- 第8条 広く諸外国の制度を取り入れ、文明開化を押し進もうと思うならば、まず我が国の本体を良く…
- 第9条 忠孝(よく君、国に仕え、親を大事にする事)仁愛(他人に対して恵み、いつくしむ心)教化…
- 第10条 人間の知恵を開発、即ち教育の根本目的は愛国の心、忠孝の心を持つことである。国の為に尽…
- 第11条 文明というのは道義、道徳に基づいて事が広く行われることを称える言葉であって、宮殿が大…
- 第12条 西洋の刑法はもっぱら、罪を再び繰り返さないようにする事を、根本の精神として、むごい扱…
- 第13条 税金を少なくして国民生活を豊かにすることこそ国力を高めることになる。だから国の事業が…
- 第14条 会計出納(金の出し入れ)は、すべての制度の基本であって、あらゆる事業はこれによって成…
- 第15条 常備する軍隊の人数も、また会計予算の中で対処すべきで、決して無限に軍備を増やして、か…
- 第16条 道義を守り、恥を知る心を失うようなことがあれば国家を維持することは決して出来ない。西…
- 第17条 正しい道を踏み、国を賭けて、倒れてもやるという精神が無いと外国との交際はこれを全うす…
- 第18条 話が国の事に及んだとき、大変に嘆いて言われるには、国が外国からはずかしめを受けるよう…
- 第19条 昔から、主君と臣下が共に自分は完全だと思って政治を行った世にうまく治まった時代はない…
- 第20条 どんなに制度や方法を論議しても、それを行なう人が立派な人でなければ、うまく行われない…
- 第21条 道というものは、天地自然の道理であるから、学問の道は『敬天愛人』を目的とし、自分を修…
- 第22条 自分に克つと言う事は、その時、その場の、いわゆる場あたりに克とうとするから、なかなか…
- 第23条 学問を志す者はその規模、理想を大きくしなければならない。しかし、ただその事のみに片寄…
- 第24条 道というのは天地自然のものであり、人は之にのっとって生きるべきものであるから何よりも…
- 第25条 人を相手にしないで、天を相手にするようにせよ。天を相手にして自分の誠をつくし、人の非…
- 第26条 自分を愛すること(即ち自分さえよければ良い)というような心はもっとも善くない事である…
- 第27条 過ちを改めるに、自分から過ったとさえ思いついたら、それで良い。その事をさっぱり捨てて…
- 第28条 道を行う事に、身分の尊いとか、卑しいとかの区別は無いものである。要するに昔のことを言…
- 第29条 正しい道を進もうとする者は、もともと困難な事に会うものだから、どんな苦しい場面に立っ…
- 第30条 命もいらぬ、名もいらぬ、官位もいらぬ、金もいらぬ、というような人は始末に困るものであ…
- 第31条 正しい道を生きてゆく者は、国中の人が寄って、たかって、悪く言われるような事があっても…
- 第32条 正しく道義を踏みおこなおうとする者は、偉大な事業を尊ばないものである。司馬温公(中国…
- 第33条 かねて道義を踏み行わない人は、ある事柄に出会うと、あわてふためき、何をして良いか判ら…
- 第34条 策略(はかりごと)は普段は用いてはならない方が良い。策略をもって行なった事は、その結…
- 第35条 人をごまかして、陰でこそこそと策略する者は、たとえその事が上手に出来あがろうとも、物…
- 第36条 聖人賢者になろうとする気持ちがなく、昔の人が行なった史実をみて、自分にはとてもまねる…
- 第37条 未来永劫までも信じて心から従う事が出来るのは、ただ一つの真心だけである。昔から父の仇…
- 第38条 世の中の人の言うチャンスとは、多くはたまたま得た偶然の幸せの事を指している。しかし、…
- 第39条 今の人は、才能や知識だけあれば、どんな事業でも思うままに出来ると思っているが、才能に…
- 第40条 南洲翁に従って犬を連れて兎を追い、山や谷を歩いて一日中狩り暮らし、田舎の宿で風呂に入…
- 第41条 修行して心を正して、君子の心身を備えても、事にあたってその処理の出来ない人は、ちょう…