敬天愛人フォーラム21 西郷隆盛に学ぶ
南洲翁遺訓 第18条

南洲翁遺訓 第18条

原文

談国事に及びし時、慨然として申されけるは、国の凌辱せらるるに当たりては、縦令国を以て斃るとも、正道を践み、義を尽すは政府の本務也。然るに平日、金穀理財の事を議するを聞けば、如何なる英雄豪傑かと見ゆれども、血の出る事に臨めば、頭を一処に集め、唯目前の苟安を謀るのみ、戦の一字を恐れ、政府の本務を墜しなば、商法支配所と申すものにて、更に政府には非ざる也。

現代語訳

話が国の事に及んだとき、大変に嘆いて言われるには、国が外国からはずかしめを受けるような事があったら、たとえ国が倒れようとも、正しい道を踏んで道義を尽くすのは政府の努めである。しかるに、ふだん金銭、穀物、財政のことを議論するのを聞いていると、何という英雄豪傑かと思われるようであるが、実際に血の出ることに臨むと頭を一カ所に集め、ただ目の前の気休めだけを謀るばかりである。戦の一字を恐れ、政府の任務をおとすような事があったら"商法支配所"と言うようなもので政府ではないというべきである。