南洲翁遺訓 第38条
原文
世人の唱ふる機会とは、多くは僥倖の仕當てたるを言ふ。真の機会とは、理を尽して行ひ、勢を審かにして動くと云ふに在り。平日国天下を憂ふる誠心厚からずして、只時のはずみに乗じて成し得たる事業は、決して永続せぬものぞ。
現代語訳
世の中の人の言うチャンスとは、多くはたまたま得た偶然の幸せの事を指している。しかし、本当のチャンスというのは道理を尽くして行い、時の勢いをよく見極めて動くという場合のことだ。つね日頃、国や世の中のことを憂える真心がなくて、ただ時のはずみにのって成功した事業は、決して長続きしないものである。