敬天愛人フォーラム21 西郷隆盛に学ぶ
南洲翁遺訓 第39条

南洲翁遺訓 第39条

原文

今の人、才識有れば、事業は心次第に、成さるるものと思へども、才に任せて為す事は、危くして見て居られぬものぞ。体有りてこそ、用は行はるるなり。肥後の長岡先生の如き君子は、今は似たる人をも見ることならぬ様に、なりたるとて嘆息なされ、古語を書きて授けらる。

夫天下非誠不動。非才不治。誠之至者其動也速。
才之周者其治也広。才興誠合然後事可成。

現代語訳

今の人は、才能や知識だけあれば、どんな事業でも思うままに出来ると思っているが、才能に任せてする事は、危なかしくて見てはおられないものだ。しっかりした内容があってこそ物事は立派に行われるものだ。肥後の長岡先生(長岡監物、熊本藩家老、勤皇家)のような立派な人物は、今は見る事が出来ないようになったといって嘆かれ、昔の言葉を書いて与えられた。

『世の中のことは真心がない限り動かす事は出来ない。才能と識見がない限り治める事は出来ない。真心に撤するとその動きも速い。才識があまねく行き渡っていると、その治めるところも広い。才識と真心と一緒になった時、すべての事は立派に出来あがるであろう』